読了本

四色(よしき)の藍(あい)

四色(よしき)の藍(あい)

四色の藍/西條奈加
研究熱心な紺屋のあるじが斬り殺された。犯人は自害したというが、本当の下手人は別にいるのではないか? 真相を探ろうとするおかみに協力する3人には、実はそれぞれの事情があり……。市井ものミステリ。立ち上がりはゆっくりだが中盤からどんどん加速、どんでん返しがいくつもあって面白かった。終わり方はややビター。ちょっといい人が多すぎるかなぁとは思うものの、とある人の狂気と、とある人の意外な一面などには楽しませてもらった。

きみに出会うとき

きみに出会うとき

きみに出会うとき/レベッカ・ステッド著、ないとうふみこ訳
えーと、これを言ってしまうとかなりネタバレになるのだが、知っていて読んでも楽しめると思うし、知らないと手に取らない人もいると思うので言ってしまおう……SFです。しかも、時間SF。お好きな方は一読をおすすめします。
児童書なので、もし大人向けの話だったらボリュームやネタ的には短編になるかもしれないけど、散漫だったり間延びしてたりな感じはない。ていねいに伏線を張り巡らしつつも、子どもの思考の幅やリズムに添っているのがとてもキュートだし、もどかしさが却ってドキドキ感をあおる。終盤まぎわに主人公の少女ミランダが思い出す“とある人から言われたことば”にちょっと泣きそうになってしまった。あーそういうことかぁ……と。ちょうど表紙のシーンなのかな。片山若子さんの装丁、相変わらずかわいいね。裏表紙は左からジュリア、アンヌマリー、コリンかな?
余談だが、とある人がその前に言ったことばは、背景にどこか不吉な、終末的なものを予感させる。これが大人の本だったら描かれたのかもしれないが、視点人物であるミランダにはそこまで想像がつかないだろうからなあ。