読了本

モルフェウスの領域

モルフェウスの領域

モルフェウスの領域海堂尊
つまらなくはなかったけれど、なんかスカしてるというか存在感が希薄というか、そんなキャラばかりで話に乗れなかった。なんで涼子がそこまでアツシに肩入れするのかもピンとこなかったし。後半のアツシも妙にフツーになっちゃったし。SFとして読むにも医療ものとして読むにも中途半端な気がしたが、むしろ詩的な寓話みたいなものなのか。官僚がいかに無能で有害かを訴えたかっただけとか。海堂ワールドの1ピースだから単品ではグッと来ないのかも。涼子に影響を与えた酔いどれ医務官なんかもどこかに出てきてるんだろうか。

おべんとうの時間

おべんとうの時間

おべんとうの時間/阿部了(写真)、阿部直美(文)
しみじみ面白かった。写真家とライターの夫婦が「あなたのおべんとう見せてください、お話きかせてください」と日本全国を取材して歩いた記録。三十九の弁当は見本になるようなキレイなものではない。でも日々の生活が息づいてる感じがして微笑ましい。作った人と食べる人の顔が見えてくるよう。ひとことでいえば「おいしそう」なのだ。添えられた文章も温かみがあって和む。まず人物の写真を眺めてどこに住むどういう職業の人かを考え、おかずの材料や調理法などを想像したのち、おもむろにページをめくって文章で答え合わせをすると2倍楽しめる。ぜひ続編を出してほしい。