読了本

蕃東国年代記

蕃東国年代記／西崎憲
架空の国“蕃東”を舞台にした奇譚集。西崎さんの東洋ものというだけでも興味をひかれたけれど、読んでみるとこれがまた大層しっくりきてて、驚きとともに喜びがこみ上げてきた。平安朝の日本に唐代がとけこんだような絶妙なパラレル感がなんとも面白く、くふくふと笑みがこぼれまくり。ユーモラスなわけではないんだけど、どこか心をくつろがせる雰囲気がある。「気獣と宝玉」がとくに好きだった。すてきなイラストは市川春子によるもの。いやーこれもっと読みたい。いつまでもこの世界にひたっていたい。