読了本

私の大好きな探偵 仁木兄妹の事件簿/仁木悦子
ポプラ文庫ピュアフルが順調に(?)仁木悦子を復刊してくれている。こんな可愛い表紙だったら若い読者も思わず手に取ってしまうだろう。舞台設定やボキャブラリーはたしかに時代を感じさせるけれど、明るくきびきびした雰囲気と細やかな小道具づかい、しっかりした推理の筋道がいま読んでもすごく面白い。「黄色い花」の見取り図はすばらしいよね、ノボロギクとか一見どーでもよさそうなことが描きこんであるけど、それらはぜんぜんムダじゃないのだ。「ただ一つの物語」もよかった。意外な展開にあっと言わされた。現代っ子には分からなさそうな語句について、翻訳ものの児童文学みたいに注を章末ごとにつけたらいいんじゃないかと思ってたら、巻末にちょっとついてた。「金銭価値の換算」はかゆいところに手が届くってやつだなぁ。