読了本

光媒の花

光媒の花

光媒の花/道尾秀介
最後まで陰鬱な雰囲気で行くのかと思っていたら、「冬の蝶」のあとが折り返し地点だったかのように「春の蝶」からトーンが一変した。意図的な方向転換だったのだろうか。個人的には歓迎。まあちょっと肩すかし感は残ったかもだし、あのまま読者を泥沼に落とし込み続けたほうが読後の印象は強かったかもだが。不幸登場人物の総救済編みたいな「遠い光」では「春の蝶」のキャラがいつ絡むのかと待っていたのだけど、結局出てこなかったのかな? まあサチたちはもう前向きに新しい暮らしを始めているんだからいいのか。

料理人は夜歩く (朝食のおいしいB&B 2) (ランダムハウス講談社文庫)

料理人は夜歩く (朝食のおいしいB&B 2) (ランダムハウス講談社文庫)

料理人は夜歩く/カレン・マキナニー著 上條ひろみ訳 <朝食の美味しいB&B>シリーズ2作目。結構おもしろくて、また寝る間も惜しんで一気に読んでしまったのだが、いろいろ引っ掛かるところがないわけではない。相変わらず好奇心に突き動かされて職業倫理もナニもなく客の私物をガサ入れしたり、人の忠告も聞かずひと気もないところで簡単に独りになったり、痛い目みたのも忘れて浮気なイケメンによろめいたりするのはいかにも女らしい(淑やかという意味でなく)、と言えなくもない。でもさあ! 屋根裏から足音が聞こえてきたら普通ドロボーや変質者を疑わないか、幽霊じゃなくて? 後ろから殴りかかってきた誰かに頭かちわられたら通報しないのか、近所のひとに愚痴るだけじゃなくてっ?? 日本とアメリカじゃ感覚が違うんだろか……。あと腹の肉を気にしながらそんなにバターやチョコたっぷりの甘いお菓子を作りまくるなよ!! とか、ツッコミ入れながら読むのが意外と楽しかったり(笑)。幽霊の正体についてはちょうどその日のニュース(ネタバレ未読者注意)で見たばかりでもあり、アレだろとすぐ分かってしまったんだけど、オチはなにごと!? いやー、3巻が楽しみだわ。それにしてもナタリーはV.I.ウォーショースキーなみに体張ってるよな、コージーヒロインのはずなのに(^^;。