読了本
- 作者: 百田尚樹
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2010/03/25
- メディア: 単行本
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醜く生まれた和子は暗い少女時代を送るが、美容整形と出会ってから身も心も変わってゆく……。え、百田さん今度は美容整形がテーマ? 引き出しの多い人だなぁ。静かな迫力をもって紡がれる物語にがっちり心をつかまれてしまった。怖いのに、いたたまれないのに目を逸らすことができない。こういう題材だと虐げられてきた主人公の復讐劇になるのはよくあるが、手術しました、はい美人になりましたで終わらないあたりが百田さんらしいリアリティの出し方。整形の過程を丹念に描き、徐々に美しくなっていくことの歓び、究極の美を手に入れた感動をヒロインが味わってこそ、のちの憑りつかれたような行動に説得力が出るってもんだ(ブス時代だけだと同情はしても共感はしにくかった。何でもかんでも顔のせいにすんなと思ってしまって)。ラストは可哀想で思わず涙。しかし男性にこんな物語を描かれたら女は立場がないね。女性作家だったらもっとウエットになるか、シビアすぎて逆に泣けなくなりそうだけど。