読了本

斬られ権佐 (集英社文庫)

斬られ権佐 (集英社文庫)

斬られ権佐/宇江佐真理
惚れた女を助けるため受けた刀傷、八十八。死の一歩手前で生きる権佐が道を踏み外してしまった者たちと向き合うとき、普通の捕物帖とはまた違った独特の味わいが生まれる。しみじみ面白かった。なでしこ御用帖にこんな骨太の前日譚があったとは。「なでしこ」はわりと読みくち軽めな作品だったから、いい意味で期待を裏切られたよ。それにしてもお紺のうわばみっぷりは祖母のあさみゆずりなんだねえ。思わず笑ってしまった。そしてお蘭の凄みは権佐から身をもって伝授されたものらしい。なんだか色々と感慨深い話だった。