読了本

道具屋殺人事件──神田紅梅亭寄席物帳  [ミステリー・リーグ]

道具屋殺人事件──神田紅梅亭寄席物帳 [ミステリー・リーグ]

道具屋殺人事件 神田紅梅亭寄席物帳/愛川晶
落語を題材にしたミステリ、シリーズ1作目。おー、面白ーい! 著者の落語愛が伝わってきますな。登場人物が本職の噺家たちなので、たんに落語が事件に絡んでくるだけじゃなく、どう「演じる」のかに重点が置かれていて、なんと謎解きも落語でやっちゃう。そこが新鮮だ。伝統芸能でありながら語る人によって、またその場の状況によってどんどん変化していくナマモノ的な魅力を見せてくれた「らくだのサゲ」はとくによかった。うんちくも楽しいし、安楽椅子探偵である馬春師匠も渋くてお茶目でかっこいい。続きが楽しみ。

川は静かに流れ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

川は静かに流れ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

川は静かに流れ/ジョン・ハート
殺人の疑いをかけられ、無罪が確定したあとも元の生活には戻れず、故郷を出るはめになったアダム。親友に頼まれ数年ぶりに戻ってみたが、事態はますます不愉快で不可解な方向へ……。面白かった。義母の目撃証言を最初にもっと洗うべきじゃ? とは思ったものの、現実の事件でもこんなものなのかもしれない。だから冤罪がなくならないのだろう。そこに引っかかりを覚えていたにもかかわらず、終盤の展開にはかなり驚いた。別の人を疑ってたしね……。また銃社会アメリカならではのショッキングさでもある。