読了本

空色メモリ

空色メモリ

空色メモリ/越谷オサム
面白かったー! 表紙がやけにガーリーだけど中身はそうでもない。主人公は男子だし。最初こそイタい青少年のイタい青春ものかと身構えたものの、そのイタさにも最終的にちゃんとオチがつけてあるから読後感がすっきりしてる。なによりハカセも野村さんもサキもみんないい子! 文章も読みやすいのにひねりがきいてて楽しい。本の題名がメッセージじみてるくだりとか、主人公のハカセ評アラカルトとかには思わず吹きだしてしまった。野村さんの秘密はみえみえだったけどキモはそこじゃなくて、大騒ぎしたあとの雨降って地固まる展開だよね。うまいよな〜。クライマックスも本気で心配したのにページをめくったら、そうきたか!と。締めも心憎いばかり。いくらでも陳腐に描ける題材をちいさな驚きで満たして美味しく料理してあった。この作者、過去作品にさかのぼって読もう。
そういえば物語の舞台は実在の地名や学校名をちょっともじってあるけれど、ジモピーには主人公たちがダベってるファーストフード店の場所まで特定できてしまうくらいそのまんまだね。川越の書店はポップつけて売ってもいいレベル(笑)。

白いひつじ

白いひつじ

白いひつじ/長野まゆみ
大学生活を始めるにあたり下宿先を探していた鳥貝は、めったにない好条件ながら限りなくうさんくさい学生寮に出会う……。面白かった。最初の印象からは予想もしなかった変化をみせて、しんみりと終ったのがよかった。長野まゆみの描く世界はある種の“異世界ファンタジー”なのだろう。これ、小説だからいいんだろうなぁ。実写にしろマンガにしろ視覚化したら嘘っぽくなりそう。作中に出てくる低カロリーの変わりオムレツ食べてみたい。