読了本

マローディープ 愚者たちの楽園 (講談社ノベルス)

マローディープ 愚者たちの楽園 (講談社ノベルス)

マローディープ 愚者たちの楽園/森福都
南国のリゾートで起こったアクシデントがとんでもない事件へと発展する。端正なんだけどコメディ色もあって面白かった。ほんとに森福さんは引き出しが広い。伏線の張りっぷりとか、職人技を感じさせる読みごこち。エキセントリックな恋愛推理作家の姉が書いた本のタイトルがいちいち秀逸で、『恋のスキューバ 酸欠ポセイドン救命指令』『年の差結婚ホーリーナイト 新郎は還暦サンタ』等々、思わず吹き出した。しかも姉にアゴで使われ不平たらたらの弟はこれらを全部そらんじてるし(笑)。姉は森公美子、弟は速水もこみちあたりで2時間ドラマ化してほしい。外見はともかくキャラのインパクトはそのくらいある。テンポも良いし、シリーズ化してくれないかなぁ。

お稲荷さんが通る

お稲荷さんが通る

お稲荷さんが通る/叶泉
中国が世界を席巻し、日本も呑み込まれてしまった近未来。日本族の娼婦として底辺で暮らす桐之宮稲荷はひょんなことから古き神にとり憑かれて……?! えーと、森見さんか万城目さんをアダルトにして倍に薄めたみたいな。せっかく世界観や舞台は斬新なのに、オカルト方面は既成品をそのまま使ってしまっている。怨霊もどうせなら新しく存在感のあるやつをでっちあげればよかったのに。幕末あたりで見繕うとかさ。後半にいくほど退魔ものとしてありがちな展開になっていったのがもったいなかった。ウガはちょっと可愛いキャラだった。