読了本
- 作者: 和田竜
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/10/28
- メディア: 単行本
- クリック: 35回
- この商品を含むブログ (51件) を見る
読みやすい。のぼうの時と同様、藤田和日郎で脳内マンガ化して読んでたくらい、とにかく視覚的でスピード感がある。でもあんまり深みはない。途中まではそこそこ面白かったのだが。坊殿が小太郎を戦に引き込むためにとった行動だけど、かなり描写不足だと思う。酒びたりになるほどの「苦悩」も見えてこないし。そもそも城兵を救うため鬼になりきる覚悟もないなら最初からするなよと。まあ主君への忠義に動かされたんだとしても、それじゃあ自分を取り戻すために寝返るという行為が軽すぎるし現代的すぎる。キャラが破綻してるなあと感じたが最後、話に入り込めなくなってしまった。冒頭でほのめかされた図書と鈴姫にまつわる「隠し玉」にも結局なんだそんなことかと拍子抜けしたし。とうに討たれるつもりがありつつ盟主の座に就くのは無責任だろーとか、小太郎の天性の優しさとやらはどこへ行っちゃったんだよーとか、終盤はおいおい何だそりゃの連続で。山へ帰ると言い出したのには最早つっこむ気力もなく……。マッチョなロマンチシズムを漂わせてなんとなく感動的に終ったけど、ぜんせんオチてないよ。せっかくの伏線も活かさないまま、ひねりのないフツーの結末を迎えたのはホントにもったいないし残念だった。