読了本

月と菓子パン (新潮文庫)

月と菓子パン (新潮文庫)

日常のひとこまを淡々と綴ったエッセイ集。1編は数ページの短さながら、たしかな観察眼とまろやかな感性から生み出される文章が個性的でとても面白かった。呑気そうでもだらけてはいない暮らしぶりが読んでいて心地よい。雰囲気は中性的かつ草食系で、この石田千というひとはいったい男なのか女なのか? とずっと頭の隅で考えていたら、裏表紙に女と書いてあった。そうなのか……まあ性別にこだわるわけじゃないのだけれど、作者を含めた映像として情景を思い浮かべるときにどうイメージすればよいか迷ってしまったものだから。祖母たちがもちつきをする話がとくに印象に残っている。