読了本

咲くや、この花  左近の桜

咲くや、この花 左近の桜

シリーズ2作目。その手の描写にも慣れたか抵抗感は薄らぎ、独特の淡く幻想的なエロティシズムを楽しめた。まあインパクトはいろんな意味で1作目のほうが大きかったのだが……。桜蔵が知らず引き寄せ交わった死者は満足して彼岸へ行くらしいのだけど、桜蔵の普通の日常と死者の存在する過去との境はとてもあいまいで、いつのまにかするりと怪異な時空間に入り込んでしまっているのが何だか妙にスリリングだった。ことが終れば桜蔵は「まいっか」くらいで済ましているから深刻さもほとんどなくて。ところでこれ、まだ続くんだよね? ラストの柾の行動の意味するところってつまりは「そういうこと」なのか?