読了本

秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)

秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)

ああ、これを……。待って、いたのよ(感無量)。第六章はコース料理のあとの甘いもののように楽しかった。やっぱりこの二人はぴったりだよねえ、とりあえず「期間限定」らしいけどさ。
小鳩くんのいいところ、それはスイーツを一緒に味わってくれるところだ。前に教わったシャルロットの美味しさも忘れてないし、栗きんとんの繊細な風味もしっかり堪能してくれる。いくらお金がないといったって毎度毎度コーヒーしか飲もうとしない相手じゃ張り合いのないことおびただしい。しかも小佐内さんにとってスイーツは魂のふるさと。それを食べないなんて、もう彼女の存在自体を否定するにも等しいのだ。このことは彼女の無意識下に不満として溜まっていったと思われる。5月の件はただのきっかけ、切り捨てるに値する明確な理由を与えただけにすぎなかったのだろう。……多分。
こんなふうに恋人と別れた話が他にもあったな、と思い出したのが愛がなくても喰ってゆけます。だ。彼らのどこに落ち度があったか分からない、仲丸さんのほうがまだ共感できる、という人こそまごうかたなき“小市民”なのかもしれない。
話は変わるが先日BS熱中夜話でスイーツを特集した回の再放送をやってるのを観た。小佐内さんみたいな人がいっぱいいて楽しかった……みんな幸せそうで、なんだか圧倒されたな。