「
山月記」を下敷きに、人が虎になるという現象を合理的に解釈してみせた
ティーン向けミステリ。面白かった。各章の引きが強くてぐいぐい読ませる。舞台はいちおう昔の中国だけど、時代がかった雰囲気は弱めてあってさほど敷居は高くない。「
山月記」を国語の授業などで読んだことがあればなおさら楽しめることうけあいだ。詩のとこはオリジナルのアレンジなのかな? だったらすごいな。ただ
100%ORANGEの挿画はビミョーだった……虎はかわいいんだけど。
有名な「
百鬼夜行絵巻」に近年新たな
バージョンが発見されて、これまでの定説が覆ったよということが平易なですます調で書かれており、読みやすくかつ面白かった。画像も参照しやすくて親切。しかし朝日がさして化け物たちが退散というのなら分かるんだけど、妖怪すら恐れて逃げ出す暗黒火の玉とか黒雲影サタンとかどうなのよ。こえーってば! 今は忘れられちゃった物語が絵巻の背後にはあるんだろうな。すでに後代には暗黒オチの意味が分からなくなってたからこそ朝日オチが描かれたんだろうし。あるいは怖すぎるから差し替えたとか?