読了本

シリーズ第三弾。コバルトで平安朝ラブコメならば氷室冴子という大先達がいるわけだが、作風や趣向はぜんぜんかぶってないし物語の完成度が高いので安心して浸っていられる。源氏物語でも絵合わせのくだりは大好きなのだけど、ここでその手の面白さが味わえるとは予想外の喜びだった。馨子のホームズっぷりは今回も最高だったし「謎少なめ、ロマンス多め」といいながら密室に暗号という本格必須アイテムもしっかり盛り込んである。いやー、楽しいわ。ちりばめられた伏線はきれいに回収されて、それでいて余韻を残したまま事件が終わるのもいい。しかし蛍の宮と次郎君はかっこいいねえ。真幸もうかうかしてはいられないぞ! 彼にもそろそろ見せ場が欲しいところだ。ラストには次巻への引きがあって、まだまだこのシリーズを楽しめるんだなと思わずにんまりした。