読了本

夜明けのフロスト (光文社文庫)

夜明けのフロスト (光文社文庫)

「くそっ、なんて日だ」募る恨めしさに、フロストは思いきり毒づいた。「次から次へと、まあ、びしょ濡れのズロースみたいに厄介なのばかり舞い込んできやがる」

クリスマスがテーマのミステリアンソロジー。時期はずれになるがフロストの中編が読みたかったので。フロストといえばモグラ叩きみたいな捜査状況によれよれのくたくた、な印象なのだがこれはわりとあっさりめ。やっぱりボリュームが少ないからかな。フロストの飄々とした下品さは相変わらずで思わずニヤリ。これがページの1/3を占め、残りは短編が6作。ほとんどがシリーズものの1編で、私にはお初の作者ばかりだったせいか少々取っ付きにくかったものの、ダグ・アリン「あの子は誰なの?」のほろ苦いハッピーエンドは心に残った。

天才探偵Sen〈3〉呪いだらけの礼拝堂 (ポプラポケット文庫)

天才探偵Sen〈3〉呪いだらけの礼拝堂 (ポプラポケット文庫)

シリーズ3作目。ミステリアスな事件と少年探偵団の活躍を作者が楽しんで書いてる感じが伝わってくる。千のこまっしゃくれたツッコミがまた面白い。毎回「あとこんだけしかページがないのに大丈夫か!?」とハラハラさせられるんだが、しゃきしゃき進んですっきり解決し、カタルシスを味わえるのもいい。ワトソン視点のミステリは時々じれったくなるけど、探偵視点だと話がスムーズだねえ。千のエキセントリックな父母はそのうち事件に関わってくるかな? 今回はすぐ引っ込んじゃったので残念だった。

風の陰陽師〈4〉さすらい風

風の陰陽師〈4〉さすらい風

完結。えええええええ、すごい意外な結末。そうくるのか! こっちの作品も残りページがわずかなのにどうオチをつけるんだろうと気を揉んでいたのだけど、予想の斜め上をいく展開であっけにとられた。鷺麻呂のあたりはちょっと淡白だったよなあ……明野のエピソードとだぶってしまうから省略したのかな。なので勝手にいろいろ妄想しておきます(笑)。それにしても晴明はいつのまにか道満に食われちゃったね。