読了本

ソロモンの犬

ソロモンの犬

飼い犬に引きずられて車の前に飛び出した少年。なぜ犬はいきなり走り出したのか……。変化の多い展開に思わずひきこまれる。ユーモアとシリアスが交互に現れ、時間軸が前後するのにうるさくならない。道尾さんテクニシャンだねえ。そのまま使えばひたすら重々しい題材を、軽みが出るよう仕上げてある。そこがいつもの道尾作品とは違う感じ。エキセントリックな間宮先生は竹中直人でイメージしてたのだけどちょっと濃すぎか? 禁じ手ぎりぎりの終盤の仕掛けには思いっきりひっかかってしまった。でも騙されて快感なのがミステリだ。