読了本

タイトルは「宮武外骨此中にあり」にちなむのかな。舞台は大正、講談風の地の文とカタカナ混じりの会話文がいっぷう変わったレトロな雰囲気を演出している。推理ものでなおかつ時代ものというのはデビュー作にしてはなかなか欲張りだ。でも全編にわたってミステリーへの愛にあふれているのが良かったので目をつぶろう。骸惚先生が犯罪や探偵小説について語るとき、行間からたちのぼる鬼火に魅入られるような心地がした。序章と終章の“語り手”については徐々に明らかになっていくのだろうか。それにしてもおまぬけな河上君を兄様と慕う溌子嬢が可愛い。