略して“暴本”（アバホンと読む）。漫画家兼書店員の番子さんが本屋にまつわるエトセトラを捨て身のギャグを交えて描いた傑作エッセイコミック。かなりきわどい業界裏話もたっぷりで、びっくりするほど面白かった。番子さんの漫画では「imp！」を読んだことあるけど、作者がこんなキャラだとは想像もしてなかった。この味のある自画像がたまらん。いちばん笑ったのが萌えジャンルじゃないBL本を棚に充実させたハチさんの顛末。困った客ネタには我が身を振り返ってみたりも……。カ
バーはもちろんめくってみましたともさ。さすが番子さん、抜かりはないな。
１巻の時点ではイキイキして見えた
エルメスが、クライマックスに近づくほど嘘っぽく作り物めいてきたのが不思議。
まとめサイトで読んだときはそうでもなかったのだが。原典に忠実だと彼女の視点がお留守になるのは仕方ない。でも漫画では同時に複数の視点でドラマが形づくられるのが自然だ（
毒男板の住人視点も自由に混在していたし）。なのに肝心の
エルメスが何を考えてるのか伝わってこないのは結構致命的ではないかと思う。どうせならもっと大胆にアレンジしてほしかった。「あぁ、もう本当に愛しい」「大人のキス、できる？」がなかったのも残念。
