読了本

『村田エフェンディ滞土録』梨木香歩（角川書店、2004）。
『家守綺譚』の姉妹編のようなつもりで読み始める。舞台こそ違えど時代は同じで、まあ繋がる話ではあったのだが、どちらかといえば『春になったら苺を摘みに』のご先祖のようなものではないかと思った。この話での異界は異国とほぼ同義で、起こる怪異は過ごした日常と等価なのである。おフダの稲荷が異邦で元気にやっているのだが、土地と切り離された土地神のアイデンティティってどうなってるんだろう、とヘンなことに違和感を覚えた。

『マリア様がみてる　バラエティギフト』今野緒雪（集英社コバルト文庫、2004）。
メープルパーラーのクッキー詰め合わせに込められたメッセージ。これだけのオチ（といったら失礼だけど）をここまでひっぱって読ませる技量はたいしたもので、未完の長編および人気爆発作品が苦手な私はもうシリーズから手を引こうかなと思ったりもしているのだが、やっぱりやめられない。少女小説の王道をいく「真紀」がけっこう好きだった。

『ハチミツとクローバー　６』羽海野チカ（集英社クイーンズコミックス）。
そんなこったろうと思ったが、野宮が実はいい人だなんて、純愛に目覚めるなんて反則だぞー。山田は髪の毛がちょっと柔らかくネコっ毛っぽくなってなーんかやけに可愛いし。人が不幸になるよりは幸せになったほうがいいんだけど、あっちもこっちもラブが生まれて息苦しいったら。たまには外に出会いを求めなさいよ君たち！　と無茶なことを言いたくなってしまう今日この頃だ。