積ん読本消化

コミックス中心に。

『旬 いまどき』鈴木有布子新書館)。
歳の離れた義理の姉と弟が主役のスロー・ラブ・ライフ。お互いにまず恋に落ちそうにない相手が“我が良き片割れ”となったところがたいへん面白い。書き下ろしショートショートもいい。この人のタッチはどこかで見かけたような気がするのだけれど、同人誌で活躍していたのかな? あるいはプロ作家のアシをつとめていた? とにかく筆運びはとても巧みだ。

『空のむこう』遠藤淑子白泉社)。
短編集。決して絵が巧い人ではないのだけれど、ストーリーを組み立てるのがめっぽう巧い。いつしか読みふけっている、そんな作風の人。表題作の異世界ファンタジー(重め)も良かったが現代青春ものの「リンク」なども好きだ。

舞姫 テレプシコーラ 5』山岸凉子メディアファクトリー)。
くるみ割り人形」の公演をめぐるあれこれ。実在の人物をモデルだと公言しながら中学生そこそこのキャラクターに恐ろしく過酷な運命を背負わせる山岸凉子がいちばん凄いのだろうと思う。六花ちゃんにはあまり挫折を味わわせないでほしいなあ、それでなくても心配性なのだから。

バジリスク 4』山田風太郎原作/せがわまさき画(講談社)。
人別帳にのる人名もかなり消されてきた。そろそろ話も終盤にさしかかったのだろう。最も気になるのは弦之介の朧に対する感情だ。純粋に愛を捧げる朧(この「甲賀忍法帖」の女性キャラは皆そうだけれど)にくらべ、弦之介はどこか計算ずくな感じがするので。

『暁の歌 藤田和日郎短編集』藤田和日郎小学館)。
からくりサーカス」はもう完結したら追おうかと……。短編集が出たので中継ぎに、と思ったのだけどこれがなかなか面白かった。女性像は相変わらず古風だけど。「ゲメル宇宙武器店」なんかパロディSFとしてはけっこう面白いんじゃないかな? 美食王の話もけっこう好き。クライマックスのシーンなどはこれぞ少年漫画という感じだ。

サトラレ 5』佐藤マコト講談社)。
何にビックリしたって、カバー折り込み裏側の「おぼろげながらラストの形が見えてきました。」という作者のコメントにだ。私にはぜんぜん見えていないので、とても楽しみ。

『よみきり・もの 6』竹本泉エンターブレイン)。
途中何巻か読んでいないような気がするが、それでも大丈夫なあたりが竹本泉らしいかも。お風呂大好きな少女の話が一番面白かった。

『スカーレット・ウィザート プラス 2』茅田砂胡著/鈴木理華中央公論新社)。
紆余曲折を経た漫画化作品だけあって、きちんと完結してよかったなあ、と。それ以上にコミカライズ作品としては極上の域に達しているからなおさらだ。茅田版の補遺としてだけでなく単品としても(背景はよくわからないにしても)楽しめる、というあたりは鈴木さんの手柄かな、と思ったり。“ゼロ”の女王の変貌ぶりが自然なのは鈴木さんの筆力に帰するところが大きいと思うもの、どちらの女王も魅力的なのには違いないけれど。