読了本

『マライアおばさん』ダイアナ・ウィン・ジョーンズ/田中薫子訳(徳間書店、2003)読了。
スプーンおばさん」のような牧歌的なファンタジーを想像していたので驚いた。頂上の見えない坂を登るがごとき前半、転がるようにスピーディな展開の後半。ときにはぴりっと辛く、毒を効かせてあるのも毎度おなじみのジョーンズ節。嫌みなキャラを描かせたら天下一品だけど、かっこいい女性キャラもうまいねえ。

『ひらいたトランプ』アガサ・クリスティー加島祥造訳(ハヤカワ・ミステリ文庫、1976)読了。
まず序文に興味をひかれ、終盤の驚きに満ちた展開までずっと飽きさせなかった。さすがに面白い。まるで白熱したトランプ・ゲームのようだ。後味はけっして良くはないけれど“ポアロの目に浮かんだ一つの風景”が救いだった。ブリッジのやり方が理解できたらもっと楽しめたのだろうな。説明を読んでも私にゃちんぷんかんぷんです。

以下コミックス。
『私家版鳥類図譜』諸星大二郎講談社、2003)
塔に棲む人々の話が秀逸。それからハーピーの話! 子どもの時に読んだらトラウマになりそう。
二十面相の娘』小原 愼司 (メディアファクトリー、2003)
小公女セーラを冒険活劇にしたらこんな感じか。なかなか面白い。「二十面相の娘」として立った少女の未来に期待。設定の違う短編も光っているが、足して二で割るとちょうど良いかな。
ベルセルク 26』三浦健太郎白泉社、2003)
一番印象に残ったのはガッツのラストのつぶやき。しかし“鷹”と対決するにはあまりにも貧弱なパーティかもしれない。過去の悲劇を繰り返してほしくはないのだが。