読了本
- 作者: 澤田瞳子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/04/22
- メディア: 単行本
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西條さんの『ごんたくれ』と題材がかなりカブってしまった。同時期に出るとはね……しかもこっちは直木賞候補だったんで、そのせいで点が辛くなってるかもだけど、正直に言って『ごんたくれ』のほうが面白かった。澤田さんは京都出身なのが強み(天明の大火のくだりなどは真に迫ってた)だが、人物造形がやや浅い気がする。作中で40年くらい経つのに、どのキャラの内面もあまり変化がなくて青さや渋さなどのメリハリが薄いので、彼らの出した結論に共感しにくかった。若冲にとって絵は贖罪であり逃避であり鎮魂であり対抗意識のなせるわざであり、その集大成が鳥獣図屏風だったという解釈はなかなか面白かった。ただずいぶんと人間くさい、悪く言えば卑小な若冲となったきらいはある。架空の絵師ならそれもよいけど、実際の絵を前にするとちょっと違和感あるかなぁ。