読了本

マルガリータ

マルガリータ

マルガリータ/村木嵐
天正年間に南蛮へ使節として渡った少年4人のその後と、学も知恵もないただのおなごであり、ひたすら夫・清佐衛門となった棄教者・千々石ミゲルを慕いつづける珠の人生をからめて描いた歴史もの。天主教のすばらしさを讃えるため日本の切支丹の殉教を歓迎する南蛮人と、ひとりの殉教者も出さないためにこの身を捧げると誓い合う4人の考え方のギャップ、そして通じ合う部分にうすら寒さを感じた。信仰は人を幸せにするためのものじゃないのか? でも珠視点が入ることによって比較的シビアな雰囲気にならずにすんでいる、のかも。『出星前夜』なんかもう怖くて怖くて、内心悲鳴を上げながら読んだもんなぁ。松本清張賞受賞作らしく、最後に大きな謎解きが炸裂する。そういうことだったのか! みげるの珠に対する扱いはどーなの? と思うところもあるけれど、じゅりあんのフォローに納得させられてしまった。じゅりあんは最期まで人を救い続けたんだなぁ……。