読了本・コミックス

ネムルバカ (リュウコミックス)

典型的な先輩後輩の仲であるルカとイリスだが、ずーっとそうってわけじゃないんだよな……先輩も社会に出ればただの人だし、かつての後輩は新入生を迎えれば先輩となる。いつまでも浸ってはいられないぬるま湯だからこそ愛おしくて切ない、ゆるゆる大学女子寮ライフ。男子じゃなくて女子なところがミソか。なごみつつも思わずしみじみしてしまった。

ファンタズム (ウィングス・コミックス)

人の悪意が見えてしまう少女あかりが自分と折り合いをつけるまでと、悪意を食べる“からす”が自分を取り戻すまでとをからめた新感覚ファンタジー。描きたいことがはっきりしてる、というか誠実に何かを描きたいという思いが強いところがいいと思った。作者にはお兄ちゃんより一馬さんのほうが愛されてそうだ。兄は花畑の住人だからなあ……黒いところがあったら辛すぎるのでこれでいいんだけど。

賽ドリル 2 (ガンガンWINGコミックス)

完結してしまって残念。もうちょっと描けそうだったが。サイノシンの叱咤は普段にこにこヘラヘラしてるだけに効くね。敢えての憤怒は菩薩の慈悲、だそうだがここぞというときに厳しくするからこそ効果的なのか。ラスト近くの恐山の賽の神の笑顔は心に沁みた。辛いことがあると神も仏もあるものかと恨んでしまいがちだけど、そこにとらわれていると先に進めないのだなあ。

御伽楼館 1 (まんがタイムKRコミックス エールシリーズ)

美しい姉妹が営む人形店。客が若い女性ならお代はいらない、大切な品ひとつと交換で人形を貸し出すというが――。人形を介して現在過去未来のわだかまりを解きほぐし、幸せを呼び込むハートフルなおとぎ話。作者が性善説の人なのかな。人形店の先代店主、姉妹の祖父にあたる人にはいろいろと逸話がありそうだ。